ストレスに絶えられない、積極的になれない、そんなときに

誰しも強いストレスを感じ、積極的になれないということはあります。「気持ちが縮こまる」そんな感覚に陥ることがあります。そのようなとき、どのようにすればよいのでしょうか?ロコムーブ・メソッドは人間の体の中で最も大きい筋肉である広背筋の本来の機能を引き出すための方法論です。この広背筋に注目したときに、情動に対してできることをお話しします。

「ポーズ」をとることで気持ちが積極的になるホルモンが出る

2012年6月、アメリカのエイミー・カディという社会心理学者が、体の動きと情動の関係について興味深い講演を行いました。毎年、カリフォルニアで開催されるTED(Technology Entertainment Design)という会議において「ボディランゲージが人をつくる」というテーマで語ったものです。それによると、姿勢や身振り手振りによってホルモン分泌が変化し、ストレス体制が違ってくるというのです。たとえば同一人物が同じ環境に置かれても、堂々としたポーズ(講演の中では「ハイパワーポーズ」と呼んでいます)をとることによって積極性を引き出すテストステロンというホルモンが分泌されることが分かりました。その一方で、ストレスがかかったときに分泌されるコルチゾールというホルモンの現象が確認されたのです。

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エイミー・カディの講演にてハイパワーポーズとして紹介されているポーズです。講演はこちらからご覧いただけます。

体が縮こまると心まで縮こまる

また、その逆もまた真であり、体を丸めて縮こまったポーズ(講演の中では「ローパワーポーズ」と呼んでいます)をとっていると、逆に積極性を引き出すテストステロンの分泌が少なくなり、ストレスがかかったときに分泌されるコルチゾールの分泌が多くなるというのです。体が縮こまると心まで縮こまるのです。

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エイミー・カディの講演にてローパワーポーズとして紹介されているポーズです。

体をコントロールすることで心まで変えることができる

体がとっているポーズによって心まで変えることができるのであれば、意識的に自分が望んでいる心の状態につながるようなポーズをとればよいというのがエイミー・カディによって提案されている考え方です。

Gardinerという医学博士も1964年に姿勢と心に関する研究で下記のようなことを述べています。

「感情と心のもちかたは神経全体に強く影響し,個人の姿勢に反映する。喜び,幸福感,自信などは,伸展位が支配的な姿勢となって表れる。不幸や劣等感は屈曲位が顕著な姿勢となって表れる。」

分かりやすく言うと、嬉しい時はバンザイやガッツポーズの時のようにあらゆる関節が伸びやすくなり、落ち込んだ時や憂うつな時は身体が丸まってしまう。
ということを説明しています。
実際にうつ病を患われている方の特有の姿勢として、猫背で膝が曲がり身体のあらゆる関節が曲がっていくことが挙げられます。
心理的な影響が姿勢に表れるのであれば、逆に姿勢を良くすることによってその日の気分を高めることが出来ることを物語っています。

体のポーズに大きな影響を与える普段の姿勢

下の2つの写真をご覧ください。どちらも立ったところの姿勢ですが、最初の写真は胸が自然に開いて、肩が体の後ろでストンと落ちた状態で立っています。一方で、胸を堂々と張っていて「ハイパワーポーズ」に近いものがあります。一方で、次の写真は体が丸まり、縮こまっています。もし、日常的に2番目の写真の姿勢をとっているとすると、その姿勢によって日常的にテストステロンの分泌が抑制され、コルチゾールがより分泌されるのです。日常的な姿勢とは恐ろしいものです。もし、日常にとっている姿勢が好ましいホルモンの分泌を妨げ、好ましくないホルモンの分泌を促しているとすると、その影響は長い期間にわたって私たちの生活に及びます。

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自然と胸が開いている姿勢です。骨盤が立ち、重心が全体的に前にかかっています。胸が自然と開き、頭は肋骨の真上に位置し、うなじが引き上げられるようにまっすぐ上に伸びています。

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体が縮こまっている姿勢です。骨盤が後傾してしまい、重心が後ろに位置しています。そして、後ろに倒れないようにと頭を前に突き出すことで全身のバランスを取っている状態です。

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胸と鎖骨が大きく開いたフェニックスは最高のパワーポーズだと言えます。

体を縮こまらせている裏ももの筋肉

日常の姿勢を考える上で、特に注目しなければならないのがハムストリング(裏ももの筋肉群)です。裏ももの筋肉は骨盤に接続しています。そして、この裏ももの筋肉が凝って収縮すると、骨盤が後ろに引っ張られます。骨盤が後ろに引っ張られると、骨盤は後傾して、体全体の重心が後ろに移るので、身体はバランスをとるために自動的に頭部を前に出します。その結果、腰椎(背骨の腰の部分)と、胸椎(背骨の胸の部分)は屈曲した(曲がった)状態で常にいることになります。裏ももは長時間座っていると座面から圧迫されてどうしてもこりやすい筋肉なので、裏もものこりについては気をつけたいところです。

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ハムストリングは骨盤を後ろ側に引っ張っています。もし、ハムストリングがこっているとすると日常的に骨盤は後ろに引っ張られ、後傾します。すると、結果的に体が丸まって縮こまってしまうのです。

裏ももの筋肉をほぐす広背筋

筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉を拮抗筋と呼びます(参考:Wikipedia)。筋肉が緊張する際には、その筋肉の拮抗筋が無意識で弛緩する作用があり、これを相反抑制と言います。この相反抑制はある筋肉を緊張させれば、その拮抗筋にあたる筋肉を弛緩させることができるので、スポーツストレッチの専門家や、理学療法士の間では活用されている考え方です。体の筋肉で拮抗筋にあたる筋肉は沢山ありますが、そのひとつとして裏ももの筋肉群(ハムストリング)と、広背筋がそれぞれ拮抗筋の関係にあります。広背筋を活動させるとハムストリングが弛緩することが自動的に起こるのです。
広背筋は骨盤は引き上げ、ハムストリングは骨盤を後ろに引っ張る動きをしています。広背筋が活動すると、広背筋が骨盤を引き上げるだけでなく、拮抗筋であるハムストリングが弛緩をするので骨盤を後ろに引っ張る力が弱まり、骨盤はなおのこと引き上げられます。逆にハムストリングが緊張すると骨盤が後ろに引っ張られるだけでなく、拮抗筋である広背筋が弛緩するので骨盤はなおのこと後ろに引っ張られるのです。

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ハムトリングの拮抗筋にあたる広背筋です。広背筋が活動するとハムストリングは緩みます。

この写真は、ロコムーブのトレーニングの前後で体を前にどこまで倒せるかを比較したものです。広背筋を活動させることで、ハムストリングが緊張状態からじんわりと解放されて体をぐっと前に倒せるようになっていることが分かります。

胸を開く姿勢が自然と取れる

ロコムーブ・メソッドは人間の体の中で最も大きい筋肉である広背筋の本来の機能を引き出すための方法論です。広背筋を上手に使うことで、自然と骨盤が立つようになり、胸が自然に前後・左右に開き、重心が全体的に前にかかっています。胸が自然と開き、首は肋骨の真上に位置し、うなじが引き上げられるようにまっすぐ上に伸びています。

この動画(再生すると音が出ます。ご注意下さい。)は同じ女性がロコムーブのトレーニングを受ける前後で歩く姿に起こった変化を撮影したものです。両者を比較してみると、トレーニングを受ける前には、骨盤が後傾しておりバランスを取るために頭が体の前に出て、着地脚の膝が曲がっている様子が分かります。それが、トレーニング後には胸が開きやすくなり骨盤が引き上げられ、首は肋骨の真上に位置し、うなじが引き上げられるようにまっすぐ上に伸びて、歩きもリズミカルで美しく見えます。ロコムーブは、広背筋をうまく活動させることでこのような変化を起こすことを目指しています。

やってみよう!ロコムーブ 基本3種目③ -チーター-

それでは、広背筋を正しく活動させようとするロコムーブ・メソッドとは一体どのようなものなのでしょうか?ロコムーブ・メソッドでは3つの基本的な動作を、基本3種目と呼んでいます。その中で3つ目の種目であるチーターという動きを紹介して行きます。この画面をパソコンや、スマホでご覧になっていらっしゃると思いますが、是非、動画を見ながらご自身でも身体を動かしてみてください。

チーター

チーターは前傾姿勢を取ることによって、特に胸椎と骨盤の動きを引き出し、広背筋の動きを呼び覚まし、裏ももの筋肉を弛緩させます。

主な効果

  • 身体が前に押し出されるようにすいすい進むように感じる
  • 体が軽く、疲れにくい
  • 走る、投げる、飛ばすなど身体の外側に向かって働く力を効率的に発揮できるようになる