肩こりはなぜ起こるのか?

肩こりは本当に辛いものです。肩こりは治したいし、できれば、肩こりとは無縁に生きたいものです。肩こりをどう治すか、どのように肩こりの無い生活を送れるかをお話しする前に、まずは、肩こりがなぜ起こるのかを身体のメカニズムからお話して行きたいと思います。

肩こりの直接原因:僧帽筋

僧帽筋は頭と鎖骨を結んでいる筋肉で、首の後ろを覆っている筋肉です。僧帽筋は、肩こりの自覚症状を起こす主要な原因筋として、広く知られています。肩こりの自覚症状がある場合の多くは、この僧帽筋が疲労してしまっており、それというのもこの僧帽筋が四六時中、じんわりと緊張している状態におかれているから、ということがあります。

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僧帽筋を斜めから見たところ

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真後ろからみた僧帽筋

頭部は重い。その重さ5kg。

頭部は身体全体の体重の10%を占め、その重さは5kgです。頭部とはかなり重い部位なのです。この重い部位の位置が前に出てしまうほど、僧帽筋は頭部を引っ張って支えなければならず、これが僧帽筋の長期間にわたる緊張と、そこから来る疲労の原因になるのです。

5kg

こんなものが首の上に乗っていると思ってください。

姿勢次第で首への負担は何倍にもなる。

米ニューヨーク市の脊椎専門のクリニック ケネス ハンスラージ氏(Dr. KenHansraj )の研究によると、頭を前に傾けていく角度が増すにつれて首への荷重も増えていくことが明らかになりました。
肩と耳の前が一直線にならんだ角度0度のとき頭の純粋な重さ約5kgが首にかかります。頭を前に傾ける角度が増すにつれ、15度で12Kg 30度で18Kg 45度で22Kg 60度で27Kgと負荷が強くなっていくそうです。
負荷のかかった頭を支えるために首の筋肉も過剰な緊張状態を強いられることになります。
また、よく観察すると頭を前に傾けるにつれてバランスをとるために、背中は後ろへと傾いて猫背が増強されていきます。

burden for your neck

頭が傾くほど首への負荷が大きくなります。

姿勢を悪くする裏もものこり

私達は「肩凝りはハム凝り」とよくお話しています。ハムストリング(裏ももの筋肉群)が肩こりの根本原因であるという意味です。裏ももの筋肉は骨盤に接続しています。そして、この裏ももの筋肉が凝って収縮すると、骨盤が後ろに引っ張られます。骨盤が後ろに引っ張られると、骨盤は後傾して、背骨が猫背の姿勢に丸くなります。その結果、重心が後ろに移るので、身体はバランスをとるために自動的に頭部を前に出します。その結果、首への負荷が大きくなり、僧帽筋を疲労させ、肩こりの自覚症状につながっていくのです。

長時間のデスクワークをしていると、長時間いすに座っているため、裏ももは圧迫させてこりやすくなります。こってしまった裏ももが姿勢を悪くすため、結果的に座っていても、立っていても頭が前に傾く姿勢になり、僧帽筋は寝ている時しか休めなくなってしまいます。これが、慢性的なこりを生んでいるのです。

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ハムストリング(裏ももの筋肉群)です。骨盤に接続して、骨盤を後ろに引っ張ります。

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裏ももの筋が収縮すると、骨盤が後ろに引っ張られ、背骨が丸くなってしまいます。結果的に、頭が前に出てバランスをとる姿勢になるので、首に負荷が掛るのです。

ここまでのまとめ:肩こりはなぜ起こるのか?

なぜ、肩こりは起こるのか、これまでの話を下にまとめました。

長時間の椅子に座っての作業

裏ももが圧迫されて凝る

骨盤が後ろに倒れる

頭を前に出してバランスをとる

首に高い負荷がかかる

僧帽筋が凝って痛みの自覚症状がでる

肩こりを治すには?

それでは、どうしたら肩こりを治すことができ、さらには肩こりと無縁の生活を送ることができるのでしょうか?肩こりが起こるメカニズムを踏まえ、その方法についてロコムーブとしてのお話をしたいと思います。

僧帽筋をほぐす、だけでは不正解。

肩こりを治すには、その直接原因となっている僧帽筋のこりをほぐすことが大事ですが、それだけでよいかと言えばそうではありません。なぜなら、先の肩こりの原因でもお話ししたように、長時間のデスクワークで起こっている裏もものこりが骨盤を後ろに引き下げており、それによって、重心が後ろに倒れ、頭を前に出している姿勢をになってしまい続けている限り、これから先、何度でも同じ原因の問題が起こるからです。

直接原因となっている僧帽筋をほぐすだけではなく、根本原因である長時間のデスクワークでこっている裏もももほぐしてあげなければなりません。

僧帽筋をほぐしつつ、裏ももも柔軟にする。秘密は広背筋。

ロコムーブでは、僧帽筋をほぐしつつ、裏ももも柔軟にする、そのための方法論があります。その秘密は、ロコムーブがそのトレーニング手法の中核においている広背筋にあります。ロコムーブ・メソッドは人間の体の中で最も大きい筋肉である広背筋を適切に活動させるための方法論です。広背筋を上手に使うことで、自然と骨盤が立つようになり、かつ姿勢が改善され、肩こり・腰痛の改善、身体移動の効率改善、ひいては真のアンチ・エイジングを目指すものです。

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広背筋は背中を広く覆っている筋肉で骨盤を起点にして、腕の骨につながっています。実は、この広背筋、身体の中で最も大きい筋肉なのです。

しかし、この広背筋のお話の前に、筋肉の緊張と弛緩の仕組みである、拮抗筋についてお話しておく必要があります。

片方が緊張すれば、片方が弛緩する -拮抗筋とは-

筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉を拮抗筋と呼びます(参考:Wikipedia)。筋肉が緊張する際には、その筋肉の拮抗筋が無意識で弛緩する作用があり、これを相反抑制と言います。この相反抑制はある筋肉を緊張させれば、その拮抗筋にあたる筋肉を弛緩させることができるので、スポーツストレッチの専門家や、理学療法士の間では活用されている考え方です。ロコムーブ・メソッドでは広背筋に注目し、この相反抑制を利用して体を整えることを意図しています。

広背筋の拮抗筋 その1 -僧帽筋-

僧帽筋自体が広背筋の拮抗筋なのです。肩こりの自覚症状がある場合の多くは、この僧帽筋が四六時中、じんわりと緊張している状態にあります。広背筋を意識して活動させることで、拮抗筋である僧帽筋を弛緩させ、このじんわりとした緊張状態から解放してあげることができます。

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広背筋の拮抗筋である僧帽筋。広背筋が緊張すれば、僧帽筋は弛緩します。

広背筋の拮抗筋 その2 -ハムストリング-

ハムストリング(裏もも)も、広背筋の拮抗筋なのです。ハムストリングは骨盤と下腿部を結ぶ筋肉で広背筋と拮抗する関係にあります。広背筋は骨盤は引き上げ、ハムストリングは骨盤を後ろに引っ張る動きをするからです。広背筋が活動すると、広背筋が骨盤を引き上げるだけでなく、拮抗筋であるハムストリングが弛緩をするので骨盤を後ろに引っ張る力が弱まり、骨盤はなおのこと引き上げられます。逆にハムストリングが緊張すると骨盤が後ろに引っ張られるだけでなく、拮抗筋である広背筋が弛緩するので骨盤はなおのこと後ろに引っ張られるのです。

この写真は、ロコムーブのトレーニングの前後で体を前にどこまで倒せるかを比較したものです。広背筋を活動させることで、ハムストリングがじんわりとした緊張状態から解放されて体をぐっと前に倒せるようになっていることが分かります。

広背筋によって姿勢が変わる。

広背筋を上手く活動させることで姿勢が変わります。その姿勢の変化によって様々なよい影響が体に現れます。

この写真は冒頭に出てきた、広背筋を正確かつ適切に活動させることができていないときと、うまく活動させることができているときの比較ですが、改めて見て頂くと、骨盤の角度が大きく違うことが見てとれます。

広背筋を正確かつ適切に活動させることができていると、骨盤が立ち、背骨がS字カーブを描きます。そのため、背骨全体で体重を支えることができようになり、腰への負担が軽減します。

5kg

まっすぐな、正しい姿勢であれば5kgの頭部も楽に支えられそうですね。

やってみよう!ロコムーブ 基本3種目① -フェニックスー

それでは、広背筋を正しく活動させようとするロコムーブ・メソッドとは一体どのようなものなのでしょうか?ロコムーブ・メソッドでは3つの基本的な動作を、基本3種目と呼んでいます。まずは、最初の種目であるフェニックスという動きから紹介して行きます。この画面をパソコンや、スマホでご覧になっていらっしゃると思いますが、是非、動画を見ながらご自身でも身体を動かしてみてください。

フェニックスは胸椎を中心として背骨を伸展させ、肩甲骨周辺の緊張を解きながら、広背筋の活動を高める運動です。広背筋の活動を高めることでその拮抗筋である僧帽筋がゆるむことを狙っています。

立って行うことにより骨盤との連動性を引き出し、自然と骨盤を引き上げます。

主な効果

  • 肩こり・腰痛を改善
  • 姿勢を矯正
  • 呼吸がラクになる、集中力アップ(胸部が高まるため、息が吸いやすい)
  • 身体にしなりが生まれる(胸椎の伸展力が高まるため)
  • 背骨のアンチエイジング

ちょっとした意識で変わることもある

僧帽筋がこってしまうのは、結局のところ、頭の位置が前に出てしまうことで、僧帽筋に大きな負荷が長時間かかることに起因しています。それならば、座ってデスクワークをしているときに、頭の位置に意識を時々向けて肋骨の上に頭部が位置するように気をつけるだけで変わってくるものもあります。肩こりが気になる方、ちょっと意識してみましょう。